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2026.7.14

創業融資の面談対策:公庫が見ているポイントと想定問答13問

川越・ふじみ野エリアの税理士事務所『ワタリエ会計事務所』です。日本政策金融公庫の創業融資では、書類提出のあとに担当者との面談があります。「面談で何を聞かれるのか」「どう準備すればいいのか」と、不安に思われる方も多いと思います。

面談の質問は、そのほとんどが創業計画書の項目に沿ったものです。この記事では、面談の位置づけと聞かれる内容を4つに整理し、13問の想定問答と答え方の考え方をまとめます。私たちの事務所も創業時に公庫の融資を利用しており、その経験もふまえた内容です。

この記事のポイント

  • 公庫の面談は「創業計画書の内容を確認・補足する場」。質問は計画書の項目に沿って聞かれる

  • 聞かれる内容は「経歴・動機」「売上計画」「資金計画・自己資金」「生活と事業の見通し」の4つに整理できる

  • 数字の根拠を「自分の言葉」で説明できることが最重要

  • 自己資金は金額だけでなく「どうやって貯めてきたか」もあわせて確認される

  • 事前準備が9割。計画書を作り込んでいれば、面談はその確認の場になる

面談は「創業計画書を確認・補足する場」

創業融資は、事業の実績がまだない段階で申し込む融資です。通常の融資であれば決算書や試算表から返済力を判断できますが、創業時にはその材料がありません。

では、公庫は何を見て「貸したお金をきちんと返してもらえるか」を判断するのか。実績の代わりに見ているのが、創業計画書です。公庫自身も、評価のポイントとして「経営者の経験と事業内容のつながり」や「創業計画の実現可能性」を挙げています。つまり、事業が本人の経験をふまえた無理のない計画になっているか。それを書面で示すのが創業計画書の役割です。

面談は、その計画書の内容を、本人の言葉で確認する場です。「厳しく審査される場」と身構える方も多いのですが、書面だけでは伝わらない部分を担当者が直接確認する時間、と考えるほうが近いと思います。計画書をしっかり作り込んでいれば、質問はその内容の確認が中心になります。「事前準備が9割、面談1割」という感覚は、多くの方に当てはまると思います。

日程は、申込から数日〜1週間程度で担当者から連絡があり、面談は申込から1〜2週間以内に行われることが多いようです。場所は申込をした公庫の支店、所要時間は30分〜1時間程度が目安です。

面談で聞かれること:想定問答13問

面談の質問は、創業計画書の記載項目(創業の動機、経営者の略歴、取扱商品・サービス、取引先、必要な資金と調達方法、事業の見通しなど)に沿っていて、書いた内容の確認と深掘りが行われます。

ここでは質問を4つに分類し、それぞれ「公庫が見ていること」と「よくある質問への答え方」を整理します。

経歴と創業の動機

ここで見られているのは、「この事業を成立させられる経験・スキルがあるか」「思いつきではなく、準備された創業か」の2点です。

「これまでの経歴と、今回の事業とのつながりを教えてください」

新事業との接点を軸に、年数・役割・実績を簡潔に話します。事業と関係の薄い職歴は短く流して構いません。経歴の空白期間(資格試験の勉強期間など)がある場合は、その間の状況を一言で説明できるようにしておくと安心です。

「なぜこのタイミングで創業するのですか」

「準備が整ったから」と言える材料(経験・資金・見込み客など)を添えて答えます。「今の会社に不満があった」といった消極的な理由を軸にせず、前向きな理由で語れるようにしておきます。

「同業他社と比べた強みは何ですか」

大手との全面比較ではなく、商圏やターゲットを絞ったうえでの比較で答えます。「〇〇のお客様に限れば、△△の点で選ばれる理由がある」という形にすると、実態に合った、納得してもらいやすい説明になります。

「未経験の分野ですが、大丈夫ですか」

経歴と事業の接点が薄い場合に聞かれやすい質問です。それを補う準備(研修や副業での実績、経験者のパートナーの存在など)を具体的に示せるかがポイントになります。

売上計画の根拠

数字そのものの大小より、「その数字がどこから来たか」を見られます。

「売上計画はどのように試算しましたか」

客数×客単価×営業日数など、計算式と各数字の根拠(立地・席数・これまでの実績など)をセットで説明します。計画書を見ながらの確認になりますが、主要な数字とその根拠は、資料を見なくても自分の言葉で説明できるように準備しておきます。

「なぜこの場所で創業するのですか」

店舗や事務所を借りて創業する場合に聞かれやすい質問です。人通りや商圏、家賃と売上見込みのバランスなど、その立地を選んだ理由を売上計画とつなげて説明します。担当者が実際に現地を確認することもあるため、計画書の記載と物件の実態が一致していることも大切です(自宅開業の場合は、その形で事業が成立する理由を話せれば十分です)。

「集客はどうやって進める予定ですか」

「SNSで発信します」で止めず、誰に・どの媒体で・何を届けるかまで話せるように準備します。すでに動いている施策や見込み客(前職からのつながり、紹介の当て、問い合わせなど)があれば、必ず伝えます。「なぜその取引が実現できそうか」の根拠(過去の取引や先方とのやり取りなど)まで話せるようにしておくと、計画の実現性が伝わります。

「売上が計画を下回ったらどうしますか」

面談で聞かれることが多い、大事な質問です。「固定費を〇〇まで抑えれば、月△△万円の売上でも持ちこたえられる」といった費用面の調整に加えて、不足分を補える資金があるなら、それも答えの材料になります。「自分の預金のうち〇〇万円は事業に回せる」のように、金額まで具体的に話せるように準備しておきます。

資金の使い道と自己資金

資金について面談で中心になるのは、「自己資金をどう作ってきたか」です。毎月コツコツ積み立ててきた履歴は、それ自体が計画性の証明として機能します。一方、設備資金の内訳や既存の借入状況は、見積書や信用情報といった書面で確認される項目なので、面談で細かく聞かれることは多くありません。そのぶん、提出書類と話の内容が食い違わないようにしておくことが大切です。

「自己資金はどのように貯めてきましたか」

毎月の積み立てなど、貯めてきた経緯を話します。通帳の履歴と話の内容が一致していることが大切です。

「申込直前に大きな入金がありますが、これは何ですか」

退職金や親族からの援助など、出どころを資料とあわせて説明できるようにしておきます。親族からの援助は、贈与なのか貸付なのかも整理しておくと確認がスムーズです。

なお、自己資金は通帳やアプリで実際に残高を確認されることがあります。私たちの事務所が面談を受けた際も、ネットバンキングのアプリ画面で残高を確認される場面がありました。紙の通帳がない場合は、アプリを手元に用意しておくと安心です。

生活と事業の見通し

事業の数字だけでなく、「事業が軌道に乗るまで生活が持つか」も返済力の一部として確認されます。

「いつ頃、事業が軌道に乗る見込みですか」

創業計画書の「事業の見通し」に記載した時期と一致させて答えます。「1年後くらいには」といった感覚ではなく、「月に〇件ずつ新規のお客様を増やしていく計画なので、△ヶ月後には月商□□万円に届き、軌道に乗ると考えています」のように、そこに至る道筋とセットで話せると説得力が出ます。

「開業直後の生活費はどうしますか」

軌道に乗るまでの生活費の出どころ(自己資金の残り、配偶者の収入など)を説明します。事業資金と生活資金を分けて考えられていることが伝わると、計画の信頼性が上がります。

「ご家族は創業に賛成していますか」

家計を共にする家族の理解は、生活の見通しの観点だけでなく、「創業そのものが途中で取りやめにならないか」という観点からも確認されます。物件の契約など事業開始の直前まで準備が進んだ段階で、家族の反対で計画が頓挫するケースもあるためです。

面談全体で意識したいこと

軸はあくまで創業計画書

担当者は計画書を手元に置いて質問します。記載内容と説明が食い違うと、そこに確認の質問が増えていくので、話の軸は計画書に置くのが基本です。もし申込のあとに計画が変わった部分があれば、「ここは申込時から変わりました」と自分から補足すれば問題ありません。

わからないことは「確認します」と素直に

多少の不明点は問題ありません。無理に取り繕うより、「確認してご連絡します」と素直に伝え、後日確認・整理したうえで正確に答えるようにします。

聞かれたことに、結論から短く答える

熱意を伝えたい場面ではありますが、長い説明より対話のテンポが大切です。結論から短く答えて、深掘りされたら補足する形が話しやすいと思います。

当日に手元に用意しておくもの

持ち物は、面談の日程調整の際に担当者から案内があります。通帳や既存借入の資料などが中心で、基本はこの案内に沿って準備すれば大丈夫です。

そのうえで、案内されなくても用意しておきたいのが、提出済み書類一式のコピーです。面談は計画書を見ながら進むため、手元に同じものがあると格段に答えやすくなります。ほかに、計画の裏付けになる資料があれば、持参して補足に使うのもいいと思います(公庫の創業計画書の様式にも、参考となる資料があれば併せて提出してよい旨の記載があります)。

また、面談の場で追加の資料を求められることもあります。その場合は内容を控えておき、後日すみやかに提出すれば問題ありません。

面談後から融資決定・着金まで

面談が終わると、審査結果の連絡を待つ流れになります。結果の連絡は、面談から1〜2週間程度が目安です。早ければ数日で来ることもありますが、審査の状況によって前後します。

融資決定後は契約書類のやり取りがあり、それが完了してから着金となります。申込から着金までの目安は1〜1.5ヶ月程度です(全体の流れは公庫の創業融資、申込から着金までの流れで詳しく解説しています)。

まとめ

  • 公庫の面談は創業計画書の「確認・補足の場」。質問は計画書の項目に沿って聞かれる

  • 聞かれる内容は「経歴・動機」「売上計画」「資金計画・自己資金」「生活と事業の見通し」の4分類で整理できる

  • 数字は根拠ごと、自己資金は形成過程まで、自分の言葉で説明できるようにしておく

  • 計画書と話の一貫性がなにより大切。わからないことは素直に「確認します」でよい

  • 計画書を作り込んでいれば、面談はその確認が中心になる

よくある質問

面談は何を着ていけばいいですか?

スーツである必要はありません。普段の仕事に近い、清潔感のある服装であれば大丈夫です。

面談後に書類を追加で求められることはありますか?

あります。住宅ローンの残高資料などを後日提出するよう求められることがあります。求められた場合はできるだけ早めに対応すると、審査が滞りなく進みます。

面談で失敗しやすいパターンはありますか?

「みんなやっているから」「自由に働きたいから」など、事業への意欲や計画性が伝わらない回答は避けたほうがよいです。なぜ自分がこの事業をできるのか、どうやって売上を作るのかを具体的に話せるよう準備しておくことが大切です。

融資が全額承認されないこともありますか?

あります。希望額より少ない金額での承認となるケースもあります。希望額の根拠を計画書でしっかり示せているかどうかが、承認額に影響することがあります。

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この記事を書いた人

ワタリエ会計事務所 公認会計士・税理士 五反田 航

川越・ふじみ野エリアの税理士事務所。創業融資のサポートを含め、freeeを活用した創業期の支援をしています。

本記事は2026年7月時点の情報に基づきます。税制・許認可・融資の最新情報は、国税庁・日本政策金融公庫・所管省庁等の公式サイトでご確認ください。


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