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2026.7.28

会社設立の決算月はいつにする?繁忙期・消費税・税理士選びから考える

川越・ふじみ野エリアの税理士事務所「ワタリエ会計事務所」です。会社を設立するときに決めることの一つが、決算月です。いざ決めるとなると、何を基準に選べばよいか迷いやすいところだと思います。この記事では、決算月を決めるときに見ておきたい3つの判断軸と、迷ったときの絞り込み方を整理します。

この記事のポイント

  • 決算月は定款で自由に決められる。何月を決算月にしてもよい

  • 繁忙期が事業年度の前半に来るようにすると、決算の着地見込みを早めに立てやすい

  • 1期目(設立日から最初の決算月まで)はなるべく長くとるのが基本。融資や消費税の免税期間にも関わる

  • 申告期限は原則として決算の2ヶ月後。税理士業界の繁忙期と重なる決算月は、税理士選びが難しくなることがある

  • 決算月は後から変更もできるが、設立前に考えておくほうが手間がかからない

決算月は自由に決められる

決算月とは、会社の事業年度の締めの月のことです。事業年度は定款で定めるもので、どの月を締めにしても構いません。「決算といえば3月」というイメージが強いのですが、これは国や自治体の年度、上場企業の慣行に合わせたもので、中小法人が3月にしなければならない理由は特にありません。

実際、決算月がもっとも多いのは3月ですが、中小法人の決算月は分散しています。

ここからは、決算月を決めるときの判断軸を3つに分けて見ていきます。

判断軸①:繁忙期は事業年度の前半に持ってくる

1つ目の判断軸は、繁忙期と決算月の位置関係です。ポイントは、繁忙期が事業年度の前半に来るように決算月を置くことです。

売上の大きい時期ほど、業績の見通しも変動しやすくなります。繁忙期が期末の直前にあると、決算間際まで利益の見込みを立てにくく、設備投資や決算賞与といった期末の対応を判断しにくくなります。反対に繁忙期を前半に持ってくれば、期末が近づくころには年間の業績がある程度見えてくるため、早めに対策を検討できます。

もう一つは決算作業の負担です。決算の時期には、資料の整理や税理士とのやり取りなどが増え、普段の月よりも事務作業の負担が大きくなります。なかでも負担が大きいのが在庫の棚卸です。在庫を持つ商売では決算月に実地棚卸が必要になるため、在庫がもっとも多い時期と決算が重なると作業の負担が大きくなります。業種によっては、在庫の少ない時期を決算月にするという視点も持っておきたいところです。

判断軸②:1期目はなるべく長くとる

会社の1期目は、設立日から最初の決算月までの期間です。決算月選びでは、この1期目をなるべく長くとるのが一般的です。たとえば7月に設立するなら6月を決算月にして、1期目をほぼ12ヶ月とる、という形です。

理由は2つあります。

1つ目は、設立して間もない時期に決算を迎えないためです。設立直後は事業を軌道に乗せることに集中したい時期で、そこに決算・申告の対応が重なると負担が大きくなります。また、創業期の融資は、決算を迎える前であれば実績ではなく計画(創業計画書)で審査されますが、決算を一度迎えると決算書の実績で判断される度合いが強くなります。1期目が極端に短いと、実績の乏しい決算書が審査の材料になってしまう、という面もあります。

2つ目は消費税です。資本金1,000万円未満で設立した法人は、原則として1期目・2期目の消費税が免税になります。1期目を長くとるほど、この免税期間を長く使えます。ただし、取引先との関係で1期目からインボイス登録して課税事業者となる場合は、この視点からは、1期目を長くする必要性は必ずしもありません。1期目から課税事業者となるかどうかは事業の内容や取引先によって変わるので、判断に迷う場合は早めに税理士に相談しておくと安心です。1期目の免税の条件やインボイス登録の判断の考え方は、法人設立1期目の消費税はどうなる?免税の条件とインボイス登録の判断で詳しく整理しています。

判断軸③:税理士業界の繁忙期との関係

税理士選びまで考えると、税理士業界の繁忙期も決算月を決める際の判断材料になります。法人の申告・納税の期限は、原則として決算の2ヶ月後です。申告時期と税理士業界の繁忙期が重なってしまうと、対応できる税理士が限られ、税理士選びが難しくなる可能性があります。

  • 11月決算:申告期限が1月末。法定調書や償却資産申告など、1月末が期限の業務と重なる

  • 12月・1月決算:申告期限が2月末・3月末。個人の確定申告シーズンと重なり、一般的にもっとも忙しい時期

  • 2月・3月決算:申告期限が4月末・5月末。数の多い3月決算法人の申告が集中する時期

  • 4月決算:申告期限が6月末。税制改正に対応した申告書様式や税務ソフトの更新が出そろう直後にあたる。特に気にしない税理士もいるが、この時期を避けたいという事務所もある

一般的には、5〜10月決算の会社は、比較的対応してもらいやすい傾向があります。一方、繁忙期と申告時期が重なる場合は、決算月を理由に新規の依頼を受けない税理士もいます。依頼する税理士をすでに決めているなら、設立前に決算月を相談しておくのがおすすめです。

迷ったときの絞り込み方

事業を始めたいタイミングを踏まえると、3つの判断軸をすべて満たす決算月を選べるとは限りません。迷ったときは優先順位をつけ、次の順序で候補を絞り込むのがおすすめです。

  1. まず、設立月の前月を決算月にする案を基本形とする(1期目が最長になる)

  2. その場合に繁忙期が事業年度の後半に来てしまうなら、繁忙期が前半に来る位置まで決算月をずらす

  3. 決算月が11月〜4月あたりに落ち着きそうなら、税理士業界の繁忙期との重なりを考えて調整する。依頼する税理士を決めているなら、このタイミングで相談する

設立月の前月を基本形にして、繁忙期の位置と税理士業界の繁忙期で調整していく、という順番です。多くの場合、候補は1つか2つの月に落ち着きます。

なお、決算月は後から変更することもできます。設立時は1期目を長くとることを優先し、その後、事業の繁忙期や税理士への依頼時期を踏まえて決算月を見直す方法もあります。変更の手続きは次のセクションで説明します。

決算月は後から変更もできる

決算月は、設立後に変更することもできます。実際、繁忙期とのバランスを取り直すためや、税理士側からの提案で決算月を変更するケースもあります。手続きとしては、事業年度は定款に記載するのが一般的なので、株主総会で定款変更を決議し、税務署や都道府県・市区町村へ異動届出書を提出する流れです。決算月(事業年度)は登記事項ではないため、法務局での手続きは不要です。

ただし、変更した年度は事業年度が1年より短くなる点には注意が必要です。短い事業年度では、減価償却費などの計算を月数に応じて調整する場面が出てくるほか、消費税の納税義務の判定でも、基準期間の課税売上高を1年分に換算し直すなどの影響があります。1期だけ変則的な決算が挟まることになるので、変更のタイミングは税理士と相談しながら決めると安心です。

まとめ

  • 決算月は定款で自由に決められる

  • 繁忙期が事業年度の前半に来るように決算月を置くと、着地見込みを早めに立てやすい

  • 1期目はなるべく長くとるのが基本。融資や消費税の免税期間に関わる

  • 迷ったら、設立月の前月を基本形に、繁忙期の位置と税理士業界の繁忙期で調整する

よくある質問

決算月は何月にする会社が多いですか

3月決算がもっとも多く、次いで9月や12月に集まる傾向があります。ただし中小法人では分散しており、多い月に合わせること自体のメリットはほとんどありません。自社の繁忙期や1期目の長さから考えるほうが実益があります。

設立月と同じ月を決算月にするとどうなりますか

設立日によっては、1期目が1ヶ月足らずで終わり、設立してすぐに決算・申告を迎えることになります。事業年度は1年以内の範囲で自由に決められるので、1期目を長くとりたい場合は、設立月の前月を決算月にするのが基本形です。

決算月によって税金の負担は変わりますか

税率や税額の基本的な計算ルールは、決算月によって変わるわけではありません。ただし、決算月によって1期目の長さが変わるため、消費税の免税期間に差が出ることがあります。また、申告・納税の時期も変わります。決算月は、税率そのものを左右するというより、免税期間の長さや税金を納める時期に関わるものと考えると分かりやすいでしょう。

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ご相談はワタリエ会計事務所へ

決算月は、設立時期や事業の繁忙期、消費税などを踏まえて決める必要があります。会社形態や資本金とあわせて設立前に整理しておくと、設立後の手続きもスムーズです。決算月を含めた設立前の検討事項については、ワタリエ会計事務所の会社設立サポートでご案内しています。

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この記事を書いた人

ワタリエ会計事務所 公認会計士・税理士 五反田 航

川越・ふじみ野エリアの税理士事務所。freeeを活用した会社設立・創業期のサポートをしています。

本記事は2026年7月時点の情報に基づきます。税制・許認可・融資の最新情報は、国税庁・日本政策金融公庫・所管省庁等の公式サイトでご確認ください。


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